光ファイバー通信技術
現在すでに、電話線を含めて情報通信網の多くの部分が光ファイバー
ケーブルになっている。しかし家庭などに引き込まれている電話線は、ほとんどが銅線のケーブルのままである。各家庭にまで光ファイバー
ケーブルを敷設しようという計画をFTTHという。
光ファイバーは銅線ケーブルに比べ、はるかに大量のデータを高速で送受信できる。そのため銅線を光ファイバーに替えると、電話だけでなく、パソコンやテレビやAV機器をインターネットにつないで映像や音楽を送受信することも可能になる。
現在音声は電話、データはインターネット、映像は電波を通して伝達されるのが主流であるが、将来的には全ての情報がIPによって統合されて光ファイバーを通して伝達されるようになると予想される。テレビと電話とインターネットが全て一緒になった機器が家庭の居間に登場するのも遠くない話であろう。そこで光ファイバーの最新技術について少し触れてみたい。
光ファイバーを使ってより多くのデータをより早く伝達できるようにするには光ファイバーの数を増やすか1本の光ファイバーで一度に多くの情報を伝送できるようにするかである。すでに光ファイバーが引かれているところでは後者が現実的である。1本の光ファイバーでいかに多くの情報を伝送するかを追求する技術を多重化技術という。多重化技術には、1本の光ファイバを使用する時間を等分し順番に割り当てる時分割多重(TDM)技術と、波長の違う複数の光信号を同時にいくつもチャンネルを使って送信する波長多重(WDM)技術とがある。
TDMは偏波分散(PMD)問題を抱えているために、近・中距離のネットワークや分散シフト光ファイバを採用しているネットワークによくなじむとされているが、標準シングル
モード光ファイバを採用しているネットワークにはなじまない。またTDMは電気的にシグナルを増幅している。WDMは複雑なネットワークを構築するのにも適しているいるため大規模ネットワークの中枢をなす技術として今後主流になると見られている。
通信になくてはならない機器にルーターがある。ルーターは例えるならば荷物の仕分けを行う集配拠点の役割を果たす機器である。現在は光ファイバー通信を扱うルーターの多くは光信号を電気信号に変えてそれをまた光信号に変えて送り出している。しかしこの方法では光信号と電気信号の変換という時間的ロスが生じる。
光信号をそのまま扱えるルーターの開発が急がれている。NTTが最近開発した光MPLSルーターでは光信号を電気信号に変換する必要はないそうである。
携帯電話通信技術
インターネット接続など応用が進んでいる携帯電話利用を支える通信技術を紹介したいと思う。携帯電話通信で使用できる周波数は無限ではない。それゆえに利用者の増加とともにどのように限られた周波数で多くの利用者を収容するための技術として以下の二つがある。
1)TDMA:Time Division Multiple Access 【時分割多元接続】
1つの周波数を短時間ずつ交代で複数の発信者で共有する方式。第2世代の携帯電話方式であるPDCやGSMなどはTDMAを用いた技術である。以前は国内のデジタル携帯電話はすべてPDC方式を採用していた。
2)CDMA:Code Division Multiple Access 【符号分割多重接続】
複数の発信者の音声信号にそれぞれ異なる符号を乗算し、すべての音声信号を合成して1つの周波数を使って送る。CDMAの信号は、送信側と全く同じ拡散符号を乗積しないと再生されないため、多数のユーザが同じ周波数を同時に使用できるわけである。
後者が今後主流になっていくものと思われる。後者を用いた次世代の携帯電話方式として以下のような技術が開発されている。
●CDMAOne
符号分割多重接続(CDMA)方式を利用した、第3世代の携帯電話の規格の一つ。
cdmaOne規格は国際的な業界団体CDG(CDMA Development Group)によって策定され、cdmaOneを利用したサービスはアメリカ、韓国、日本など、アメリカ大陸やアジアを中心に提供されている。日本では日本移動通信(IDO)や第二電電(DDI)などcdmaOneを利用した携帯電話サービスを提供している。cdmaOneはPDCなど従来の携帯電話方式に比べ、音質がより肉声に近く、またデータ通信が14.4kbpsと高速(従来は9.6kbps)などの特徴を持つ。また、cdmaOneは世界各国で導入されているので、国際ローミングが実現しやすい。
次世代通信方式として以下の北米案(CDMA2000)日欧案(W-CDMA)が世界標準をめぐって争っている。
●CDMA2000
QUALCOMM社などを中心とする通信事業者の国際的な業界団体CDGが開発した次世代携帯電話の通信方式。高速移動時144kbps、歩行時384kbps、静止時2Mbpsのデータ伝送能力があり、動画・音声によるリアルタイムの通信が可能。Wideband
cdmaOneとも呼ばれ、現在のcdmaOne規格(IS-95)の上位規格にあたる。cdmaOneを利用した携帯電話サービスは各国で開始されているため、cdmaOne
事業者は追加投資が少なくて済む。既存の無線設備・運用ノウハウを流用することができるというメリットがある。
●W-CDMA:Wideband Code Division Multiple Access
高速移動時144kbps、歩行時384kbps、静止時2Mbpsのデータ伝送能力があり、動画・音声によるリアルタイムの通信が可能。CDMA方式を採用し、1つの周波数を複数の利用者で共有できるため、周波数効率がよい。1から構築する
W-CDMA
では広帯域のメリットを十分に生かし、回線上の柔軟性が高く、伝送レートが速いというメリットがある。
W-CDMA方式はNTTドコモが精力的に開発に力を注いでいる。W-CDMA方式ではインターネットに接続できるだけでなく、高品質の動画像を伝送できる。W-CDMA方式に、音声だけでなく文字や画像情報を一元的に処理する最も有効な仕組みである「非同期転送モード」を組み合わせることにより、携帯電話で移動マルチメディア統合通信システムが構築できる。
WAN構築技術
今日の地球規模のビジネス環境では、企業の本支社間、提携企業間、およびサプライヤ間で頻繁に通信する必要性が高まっている。利用できるネットワークサービスはフレームリレー、ATM、インターネットなどがある。
○フレーム リレー
高速伝送を実現するために従来のパケット交換を簡略化したデータ中継/交換方式。LAN間接続に適した高速データ交換技術/サービスとして利用されている。
○ATM
ATMは伝送方式にATM(非同期転送モード)を使う専用線サービスのこと。サービスのメニューが非常に豊富であり、料金も安い。サービス
メニューは速度品目や回線グレードなどがある。サービスを利用するための接続機器はATM多重装置、ATM交換機、ATM対応ルーターなどである。
○仮想専用線:VPN (Virtual Private Network)
メッセージやファイルなどのデータは送信元のコンピューターで一定の大きさに分割されてからネットワーク上に流され、受信先のコンピューターでもとのデータに組み合わせられる。分割された各データはパケットといい、各パケットに宛先がついている。これは大きな荷物を何個口として送る仕組みに例えられる。
VPNでは本来のパケットをカプセル化(新しいIPヘッダを付加すること)して通信が行われる。カプセル化はVPN装置(VPN専用装置、VPN機能付きルーター、VPNのソフトウェアをインストールしたPCなど)で行われる。受信先のVPN装置がカプセル化されたパケットから元のパケットを取り出して受信先に届けられる。このように本来のパケットをカプセル化してデータのやりとりすることをトンネリングと呼ぶ。
VPNではさらに送信されたデータは送信元の装置で暗号化される。受信先の装置でそのデータは復号化され、送信先に届けられる。
VPNはトンネリングと暗号化によって専用線接続と同じようなセキュリティが保たれている。
VPNにはPPTP、L2F、L2TP、IPSecなどのプロトコルが使用され、これらのプロトコルを実装したVPN装置が使われる。
インターネットVPNには以下の3種類がある。
●LAN間インターネットVPN
インターネットに常時接続しているLAN同士を繋ぐVPN
●ダイアルアップアクセスLAN間VPN
インターネットに常時接続しているLANにインターネットにダイアルアップでアクセスしているLANを接続するVPN
●リモートクライアントVPN
インターネットに常時接続しているLANにダイアルアップでリモートアクセスするVPN
ビデオストリーミング
動画は文字や静止画に比べて桁違いに大きい。動画ファイルを自分のPCにダウンロードした後再生するのは、ダウンロードに膨大な時間がかかり実用的ではない。待ち時間なしに映像の視聴ができるようにしたのが、サーバーからデータを受信しながら映像を再生する技術(ストリーミング技術)である。
ビデオストリーミングは、映像符号化技術とスケーラブル配信技術の2つの鍵となる技術により実現されている。
○映像符号化技術
声も映像も、そのままではアナログデータだから、コンピューターネットワークを通じて送受信できない。そのためデジタルデータに変換する必要がある。この変換を符号化あるいはエンコードという。データを受け取った側では、元のアナログデータに戻す必要がある。これを復号化あるいはデコードという。声や映像をリアルタイムで符号化/復号化する装置をコーデックという。
MPEG(Moving Picture coding Experts Group)というカラー動画像蓄積用符号化方式の標準化作業を進める組織があるが、転じてMPEGで標準化作業が行われている符号化方式の呼称としても使われる。MPEGの符号化方式としてはMPEG1、MPEG2、MPEG4、MPEG7の4タイプに分けて標準化が進められている。
●MPEG1:転送速度が1.5Mビット/秒程度で主にCD-ROMなどの蓄積メディアが適用対象
●MPEG2:転送速度は数M〜数十Mビット/秒という広い範囲を対象としている。蓄積メディア、放送、通信で共通に利用できる汎用型の映像符号化方式である。MPEG2にはMPEG1との互換性がある。
●MPEG-4:従来のMPEG-1/2の高画質を追求する流れとは異なり、低ビットレートでの高画質の達成を目標としている。携帯電話など無線通信向け
○スケーラブル配信技術
利用しているネットワークの状態に応じて、ネットワークビデオの画質を自動的に適合させる技術がスケーラブル配信技術である。サーバーと端末との間のネットワークの帯域を監視して、サーバから端末に送信するデータ量を自動的に調整する技術などが開発されている。
それに対し、音声をデジタル化した上で分割(パケット化)し、インターネット網を使って通信するVoice
over IP(VoIP)技術が現在注目を集めている。VoIP技術は音声とデータ通信の融合をはかることができる。