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日本で12月と言えば師走であり、年末で誰もが忙しいと言われる月である。しかしイスラエルではユダヤ教の暦の新年は9月に始まっており、イスラム教の暦においても1月1日は新年の始まりではないので、年末という特別な月ではない。年末のクリスマスの雰囲気もキリスト教会以外はなく、日本とは全く違う年末年始の情景である。イスラエルはイエスキリスト 生誕の地にしては意外に思うかもしれないが、エルサレムの街にクリスマスの雰囲気がほとんどない。12月31日と1月1日も普段と全く変わりがない。

クリスマスに関してはイエス キリスト誕生の地イスラエルのクリスマスはイエス キリスト誕生の地ベツレヘムとイエス キリストが幼少時に過ごしたナザレでは、パレードがなされたりして盛大に祝われる。しかし華やかさという点では、欧米や日本の都市の繁華街ほどではない。

ユダヤ人地域でクリスマスにかわるものとしては、ハヌカという祭日がある。イスラエルがシリアのセレウコス帝国の統治下にあったとき、セレウコスのギリシャ人たちがエルサレムの神殿に偶像をまつって、崇拝を強要し、それを拒否したイスラエル人に対して弾圧と迫害を加えていた。紀元前164年、これに対して敢然と信仰の自由を奪回するために立ち上がったのがユダ マカビーである。マカビーは神殿を清めなおして、再度奉献した。そのさい聖所のランプに1日分だけの油をそそいだのにもかかわらず、8日間もランプが灯り続けるという奇跡が起きた。ハヌカはその奇跡を記念してのお祭りだそうである。この話に由来して、12月中旬の8日間8枝の燭台に毎日一本ずつろうそくに火を灯していく。期間中子供たちはプレゼントをもらったり、こまのようなものをまわして遊んだり、オリーブ油で揚がったジャム入りドーナッツを食べる。子供たちにとっては欧米のクリスマスのように楽しいお祭りである。熱心なユダヤ教徒にとってはユダヤの神への信仰をまもった先人を偲ぶ時でもある。

イスラム教徒の地域ではこの時期、聖なるラマダン(断食月)が始まる。といってものこれは単なるお祭りではない。イスラム教徒が断食を行うよう定められているイスラム暦の第9月のことである。断食は聖典「コーラン」で、喜捨、礼拝、メッカ巡礼などと並ぶ「六信五行」の義務の一つとされ、一ヶ月間、日の出から日没まで飲食や喫煙などを断つ。コーヒー紅茶は勿論、水さえ一滴も飲まない。神を畏敬し、感謝の気持ちを高めるのが目的で、子どもや病人、妊婦、戦時の兵士などは対象外となる。

ラマダン期間中は時に十数万人ものイスラム教徒がエルサレムの旧市街のエルアクサモスクに集まることがある。まさに神殿の丘がイスラム教徒で埋め尽くされる。

ユダヤ教徒とイスラム教徒の自らの信仰への強い姿勢を思わされるのもイスラエルの年末年始である。しかし時に宗教は人の心の中にある排他性や自己中心性と結びついて歪んだものとなってしまうことがある。聖書の約束の地であるからと他者を考えない一部のユダヤ教徒や、ユダヤ人へのテロ攻撃を聖戦として正当化し、またそれで死ねば天国に直行するなどとする一部のイスラム教徒などがその例である。宗教が歪むのはその宗教そのものに問題があるのか、人間の心の歪みがその宗教に反映してしまうせいなのか考えさせられる。人の心の善なる部分を引き出し、調和に満ちた美しい世界を実現するいう宗教本来の精神で和平実現に向かって欲しいものである。