2023年12月17日日曜日

ユダヤ王国と神殿建設

ユダヤ王国と神殿建設

モーセの使命を継承したヨシュアが、イスラエル民族を率いてカナンの地に入った後、15代の士師が約400年間、イスラエル民族を治めました。そして最後の士師サムエルは、サウルに油を注いで祝福し、イスラエルの王国の最初の王としました。

「その時サムエルは油のびんを取って、サウルの頭に注ぎ、彼に口づけして言った、「主はあなたに油を注いで、その民イスラエルの君とされたではありませんか。あなたは主の民を治め、周囲の敵の手から彼らを救わなければならない。主があなたに油を注いで、その嗣業の君とされたことの、しるしは次のとおりです。」(サムエル記上10/1)

サウルの次の二代目の王がダビデです。このダビデが王国の基礎を築き上げ、またエルサレムの発祥の地とされるダビデの町を築き上げたるのです。そして三代目の王のソロモンのときに最初の神殿(第一神殿)が建設されました。

紀元前1000年頃、ダビデ王とその従者たちとはエルサレムへ行って、その地の住民エブス人を攻め、シオンの要害を取りました。これがダビデの町です。ダビデは、エブス人を水をくみ上げる縦穴から兵を送り攻略したのです。

「すなわちヘブロンで七年六か月ユダを治め、またエルサレムで三十三年、全イスラエルとユダを治めた。
王とその従者たちとはエルサレムへ行って、その地の住民エブスびとを攻めた。エブスびとはダビデに言った、「あなたはけっして、ここに攻め入ることはできない。かえって、めしいや足なえでも、あなたを追い払うであろう」。彼らが「ダビデはここに攻め入ることはできない」と思ったからである。
ところがダビデはシオンの要害を取った。これがダビデの町である。
その日ダビデは、「だれでもエブスびとを撃とうとする人は、水をくみ上げる縦穴を上って行って、ダビデが心に憎んでいる足なえやめしいを撃て」と言った。それゆえに人々は、「めしいや足なえは、宮にはいってはならない」と言いならわしている。」
(サムエル記下5/6-8)

ダビデの町は現在のエルサレムの旧市街の嘆きの壁近くの糞門を出た南側にあったとされ、第一神殿時代の遺跡の発掘作業が進められています。発掘作業の過程で発見されたウォーレンの縦穴は上記のダビデ王のエルサレム攻略の際に使われた縦穴と考えられています。

ダビデの町も旧市街と同様、現在の住民の大半はアラブ人ですが、熱狂的ユダヤ教徒はその一帯はダビデの時代からユダヤ人のものだ主張し、アラブ人との衝突があります。

ダビデはダビデの町のうちに自分のために家を建て、また神の箱のために所を備え、これがために幕屋を張りました。

「ダビデはダビデの町のうちに自分のために家を建て、また神の箱のために所を備え、これがために幕屋を張った。」(歴代志上15/1)

神の箱の中にはモーセが受けとったとされる十戒の記された石板が安置されており、荒野でカナンの地を目指し流浪するイスラエルの民を一体とする信仰の対象でした。

「王は預言者ナタンに言った、「見よ、今わたしは、香柏の家に住んでいるが、神の箱はなお幕屋のうちにある」。」(サムエル記下7/2)

ダビデは神の箱ならびに幕屋をカナンの地に定着したイスラエル民族の信仰の対象となる神殿として完成させようとしたようです。また新約聖書のヨハネによる福音書2/21にイエスキリストが自分の体を神殿に例えていることから、この神殿はイスラエル民族が待ち望むメシヤを象徴するものでもあったと考えられます。ちなみにイエスキリストの言動には旧約聖書から用いられているものが多くあります。メシヤ再来を願う狂信的グループが神殿の丘を目指したりするのも神殿の丘とメシヤの関連を信じているのかもしれません。

主の僕はガデに命じ、ダビデが上って行ってエブスびとオルナンの打ち場で主のために一つの祭壇を築くように告げさせた。・・・・ダビデはその所のために金六百シケルをはかって、オルナンに払った。・・・・ダビデは命じてイスラエルの地にいる他国人を集めさせ、また神の家を建てるのに用いる石を切るために石工を定めた。ダビデはまた門のとびらのくぎ、およびかすがいに用いる鉄をおびただしく備えた。また香柏を数えきれないほど備えた。・・・・こうしてダビデは死ぬ前に多くの物資を準備した。そして彼はその子ソロモンを召してイスラエルの神、主のために家を建てることを命じた。(歴代志上21/18-22/6)

「イスラエルの人々がエジプトの地を出て後四百八十年、ソロモンがイスラエルの王となって第四年のジフの月すなわち二月に、ソロモンは主のために宮を建てることを始めた。」(列王紀上6/1)

ダビデは神殿建設を精力的に目指したが、果たせなかったのは、聖書の記録によるとダビデは王国の基礎を築くための幾多の戦争を繰り返したがゆえに、平和の時代の訪れるソロモンの時代へと繰り越されたとあります。

現在のイスラエルの国も戦争の繰り返しで国家基盤を築き上げてきたわけですが、中東和平の話し合いが進み、平和の時代が訪れ、イスラエルの人々にとっても真の安住の地となるように願われます。

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