2014年1月13日月曜日

光学ドライブ産業の今後

私が働いている光学ドライブ産業界の今後について書きたいと思います。

2012年末に米国家電量販店のベストバイで販売されているコンピューターを観察すると、ノート型の半数程度は光学ドライブ非搭載でした。液晶一体型デスクトップPC(オールインワン)でも光学ドライブ非搭載モデルが複数ありました。

完全に標準搭載機器の位置から滑り落ちてしまった感があります。

今思うと私がこの業界の仕事に就いた2004年当時が光学ドライブの絶頂期だったように思われます。当時はCD-ROM、DVD-ROM、Combo (CD読み書きとDVD読みのみ)、DVD記録ドライブと様々なドライブがあり、PCのアップグレードの選択肢に使われていました。

その後ブルーレイが登場し、光学ドライブの需要は伸び続けると思っていました。

しかし光学ドライブ産業界に以下の様な逆風が吹き込みました。

  1. 2008年のリーマン・ショックによる世界経済の落ち込み
  2. 映画のインターネット配信技術の進展と普及
  3. Dropbox、Googleドライブ、SkyDrive などクラウドサービスによるデータのネット上での保存の普及
  4. ネットブックの普及で光学ドライブがPCの必需品でないという認識に変化
  5. アップルの光学ドライブ非搭載
  6. 光ディスク以外の記録媒体で大容量化と低価格化が進んだ
  7. 記録型ブルーレイ需要の日本以外での伸び悩み

記録型BDの世界需要は'15年に2億9,900万枚。JRIA予測
上記のニュースによると、記録型ブルーレイ需要の8割超は日本でのもの。

2013年3月末にはソニーオプティアークがPC向け光学ドライブ事業から撤退しました。

光学ドライブ産業が今後縮小していくのは避けられないことです。ただしすぐになくなってしまうことはないと思います。膨大な数のCDやDVDが既に出回っています。映画のDVDやブルーレイは今後も販売され続けるでしょう。それらを読み込むためには光学ドライブが必要です。

スマホやタブレットで再生可能な無線接続の光学ドライブといった付加価値のあるドライブも登場しています。

大量のデータを長期にわたって保存(アーカイブ)する必要のあるビジネス向けのニーズに応えていくことで生き残ることもできると思います。

温湿度や光による劣化がない無機素材を利用した米Millenniata社のM-DISCという記録型DVDやBDといった製品もあります。米Millenniata社によると同ディスクの寿命は1,000年だそうです。

災害で浸水した場合なども光ディスクの場合、データを復旧できる確率が他の記録メディアに比べて高いそうです。

文化財などのデータのような次世代にも伝えていなかければならない大切なデータの保存といったニッチな用途であれ、今後とも光学ドライブの貢献の場は残されているのではないでしょうか。

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