2013年12月20日金曜日

ALDI-米国食料品スーパー業界のLCC

2012年は日本のLCC元年と言われました。ニュースでもよく取り上げられ、LCC(格安運賃航空会社)も一般的に知られるようになりました。
米国食料品スーパーのALDIとLCCのビジネスモデルの共通点について私が感じる点を書いていきます。
ALDIはドイツに基盤を置くディスカウントストアのチェーン企業で、全米では1000以上の店舗を展開しています。
他の食料品スーパーとくらべ、果物や野菜など2,3割近く安い価格のものが多く見られます。
店内にALDI Truthという標語が貼られていて、その一つに他店の商品が高値(overprice)に見えてしますというものがあります。
実際ALDIで買い物するのに慣れて、他の食料品スーパーに行くと何でこんなに高いのだろうと思ってしまいます。
世界最大のスーパーマーケットのウォルマートが最近私の近所で食料品に特化した店舗を二店開業しましたが、果物や野菜についてはALDIのほうが断然安いことが多いです。
私の観察で感じたALDIの安値販売の秘訣はコストの徹底的な削減です。
1)最低限のサービス
ショッピングカート置き場が一箇所しかなく、客は25セント硬貨を挿入して、カートを引き出し、使い終わった後に置き場に返却すると挿入した25セント硬貨が返ってくるという仕組みを導入しています。
このシステムでショッピングカートが駐車場に放置されることを防ぎ、ショッピングカートを集めて回る人員が不要になっています。
ショッピング袋の無料提供もありません。客は自分の買い物袋なり買い物カゴをもって来る必要があります。ショッピング袋が必要な場合は購入することになります。
無料機内サービスを廃して、望む客には有料で提供するLCCのビジネスモデルと重なります。
2)扱う商品数を限定
米国の通常の食料品スーパーに行くと実に多種多様なブランドの商品が並べられています。米国の朝食の定番シリアル一つとっても数十種類並んでいることも稀ではありません。
ALDIでは商品の多くがPBブランドのみか、追加で1,2種類のブランドがあるだけです。ALDIで見つからない商品があることもあり、必要な買い物を全て済ませることができない時もあるという不便さもあります。
限られた店舗の陳列棚スペースの最大限に活用しつつ、商品管理費用を出来るだけ抑えていると見えます。
これも単一機種の限られた機材を最大限活用し、運航に必要な費用を抑えているLCCのビジネスモデルと重なります。
3)最低限の従業員で運営
ALDIのレジ係は多くても3,4人、通常一人か二人です。他に店内で見かける従業員も一人か二人程度です。
レジ係のレジ打ちは迅速なのでレジ待ちの時間でストレスを感じることはそれほどありません。むしろウォルマートなど他店のレジ待ちのほうが余計にストレスを感じることがあります。
ALDIは従業員に対する教育などケアがよく施されているのかも知れません。
これも客室乗務員が機内清掃もこなすなどして最低限の人員で運営しているLCCのビジネスモデルと重なります。
その他ALDIは商品の入荷頻度も限定しているように見えます。私はノースカロライナのCaryの店舗で買い物をするのですが、火曜日の夕方に行くと空っぽの商品棚が目につきます。
売り切ってしまいたい商品は更に安値で販売されることもあり、在庫状況に応じて値段をこまめに変動させるのもLCCのビジネスモデルと似ていますね。
以上、私のALDI観察で感じたLCCのビジネスモデルとの類似点に関する所感です。

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